Creators Meet TAKAOKA 2020 高岡の工房とクリエイターとの組み合わせが決定! コラボレーションのキックオフとなる高岡ツアーを10/14(水)に実施
「ものづくりのまち高岡」の魅力を県外のクリエイターに伝える「Creators Meet TAKAOKA」(高岡市主催/総務省・関係人口創出・拡大モデル事業)。
2019年は、東京でのPRイベントおよびクリエイターを招いた「高岡体験モデルツアー」を実施しましたが、今年は、高岡の工房とクリエイターの皆さんが協働し、ともに新たな作品や商品、素材を創り出し発信する、さらなる展開を図っています。
この度、多数の応募の中から、5組のクリエイターと高岡の工房をマッチングすることができました。今後、両者がタッグを組み、協働制作を行います。5組のクリエイターのうち2組は去年の「Creators Meet TAKAOKA」から継続しての参加、3組が今年からの参加という構成です。まずは、10月14日、高岡のものづくりや風土を感じてもらうことを目的に、参加工房を巡るツアーを開催します。
その後は、リモートでの連携をうまく活用しながら進行し、年末に成果発表を行う予定です。
今回のクリエイターと工房の組合せ、各プロフィールは下記のとおりです。
■組合せ
鎌田修氏(HamanishiDESIGN) x 株式会社能作
松永有理氏、近藤淳氏、横山彩子氏、宮下友孝氏(三井化学株式会社 MOLp) x 漆器くにもと
若狭真司氏(未音制作所) x シマタニ昇龍工房/高岡民芸株式会社
手嶋隆史氏(TAKASHI TESHIMA DESIGN) x 株式会社竹中銅器
芳村朗氏(Shy Shadow) x 有限会社佐野政製作所
■クリエイタープロフィール
鎌田修氏(HamanishiDESIGN)
私たちの社会は連綿と受け継がれる歴史の上に成り立っている。HamanishiDESIGNは、温故知新の考えのもと、入念なリサーチと、自由な発想、時には 実験的なアプローチで、次の世代に向けたスタイルをデザインしていこうと活動。伝統的な手法や素材から学び、その叡智を発展しながら、ユーモラスに思考を刺激するプロダクト、インテリアを提案。
松永有理氏、近藤淳氏、横山彩子氏、宮下友孝氏(三井化学株式会社 MOLp)
三井化学の主力製品であるプラスチックは今、モビリティの軽量化、食品包装による食品ロスの削減、住みやすい住宅建材、長寿命化社会で活躍する素材・製品等で、世の中に不可欠な素材になった反面、海洋プラスチックゴミ問題などからくる脱プラスチックの声が高まっている。こういった課題を背景に2015年、社内の有志メンバーで立ち上げたのがMOLp(Mitsui Chemicals Oriented Laboratory;素材の魅力ラボラトリー活動)。素材が持つ機能的価値に加え、ストーリーや五感から得られるような感性的価値に着目し、素材を見つめなおし、それを世の中に表現していく活動を行う。
若狭真司氏(未音制作所)
10代より音楽活動を開始。東京都内のライブハウスやクラブイベントを中心に活動する中で、自身の音楽性に於ける静寂性や、より音響的な感覚を追求するため独学で音楽を学び直す。その後、都内MAスタジオに勤務し、ラジオやテレビコマーシャル、ゲー ムなどの音響、選曲、録音を学ぶ。2016 年より自身が代表を務める「未音制作所 ( ひつじおとせ いさくじょ )」を開業。各種の広告媒体、展示会やファッションショー、イベントへの音楽提供、演出を中心にその活動の幅を広げている。
手嶋隆史氏(TAKASHI TESHIMA DESIGN)
デザイン事務所や企業のインハウスデザイナーとして、日用品や家具・家電など様々なプロダクトデザインに10年以上携わる。並行してファッションクリエイションを学び、2018年にTAKASHI TESHIMA DESIGNを設立。クライアントと供に雑貨や家具・家電などのプロダクトデザインを手掛ける傍ら、自身のファッションブランドSOUBI BY TAKASHI TESHIMAを立ち上げ進行中。
主な受賞にグッドデザイン賞、IFデザインアワードなど。阿佐ヶ谷美術専門学校非常勤講師。
芳村朗氏(Shy Shadow)
祖父母がコレクションしていた漆塗り家具や着物、磁器や陶器の美しさに魅せられ、デザインに興味を持ち始める。東洋と西洋のデザインを学ぶため、1999年に米国ロードアイランド造形大学(RISD)インダストリアルデザイン学科を卒業。ニューヨーク拠点に家具、玩具、靴下、鞄、パッケージなどのデザイン、レストラン内装、水洗デザイン、園芸用品などを経て、2007年に自身の会社、Shy Shadowを設立。デザイン業の傍ら、母校のRISDで講義などを行なっている。2013年5月、ニューヨークの5地区に渡って開催されたMoMA のデザインコンペ『Destination NYC』において入賞。ニューヨーク及び東京のMoMAショップ限定で『Cups With Bite』が販売される。
■工房プロフィール
株式会社能作
大正5年(1916)創業。創業当時は仏具、茶道具、花器を中心に、現在ではテーブルウェアやインテリア雑貨、照明器具や建築金物なども手掛ける。「伝統は守るものではなく、攻めるもの」をキーワードに革新し続けてきた能作では、昔からの技術を継承しつつも、常に新しいことや面白いことに挑戦する気持ちを大事にしている。特に錫を使った曲がる器「KAGO」シリーズは大きな反響を呼び、高岡を代表する鋳物メーカーとして全国から注目を集める。熱して溶けた金属を鋳型に流し込み、製品を成型する方法を鋳造という。能作では、生型(なまがた)鋳造法を中心に、自硬性鋳造法、ロストワックス鋳造法、シリコーン鋳造法などの鋳造法を使い分け、多品種少量生産を実現する。また、創業より培った職人の技法と現代の技術を融合させることで、企画から製造までを請け負い、高品質な製品を安定的に供給できる生産体制を構築している。2017年には産業観光をコンセプトにした新社屋をオープン。職人目線で体感できる工場見学や体験スペースでの鋳造体験が特徴的だ。製品では錫の抗菌性などを生かし医療分野に展開、また高岡の他の職人とのコラボ企画など挑戦的なスタンスを崩さない。
主な受賞歴:「第1回三井ゴールデン匠賞」グランプリ受賞、「第5回富山県ものづくり大賞」優秀賞受賞、「第13回産業観光まちづくり大賞」経済産業大臣賞受賞
漆器くにもと
漆器くにもとでは高岡の伝統工芸品、及びその技術を活かしながら現代のライフスタイルに合致した商品を中心に販売を行っている。産地の問屋というポジションから、商品開発に至るマーケティングや分業制を敷く高岡の工房間の間をつなぐなど多岐に渡る。どの工房がどういった技術に優れているなど、高岡の多くの工房を把握していることから商品開発時の窓口になることも多い。案件毎にどの工房と一緒にやっていくのか、その選択は分業制を敷く高岡において特に重要であり、これまでの実績や工房との関係性などを考慮すれば、高岡において欠かせないポジションを担っている。また多くの地域の活性化に絡むようなプロジェクトに参画するなどものづくりに加え、まちづくりの面でも高岡を盛り上げている。現在はアウトドアブランドの企画開発や、後継者不足に悩む全国の産地をつなぎ、足りない技術を補い合ってものづくりを行うシステムの構築を目指すなど、幅広い展開をしている。
主な受賞歴:2016年工芸都市高岡クラフトコンペグランプリ
シマタニ昇龍工房
明治42年創業のシマタニ昇龍工房。金槌で叩く鍛金という技法で真鍮から寺社に納めるおりんを製作する工房である。おりん自体の需要が減っていることもあり、手作業でおりんを作れる職人は全国に10人しか残っていないそうだが、そのうちの3人が所属する工房だ。金槌だけで形成していく技術に加え、おりん特有の心地よい音を調整していく技術は非常に希少である。アジア、欧米と日本の伝統工芸を普及するようなイベントにはこれまでも数多く招待されてきた。近年では鍛金の技術を活かし「すずがみ」という商品開発も行った。錫100%の柔らかさを、圧延と金槌の力加減や回数によって絶妙な曲げを可能にした平皿である。またこのすずがみをさらに発展させ、ボウルに近いようなテーブルウェアや薄い錫製の折り紙を開発するなど、伝統技術を現代のライフスタイルに活かす商品開発に余念がない。
主な受賞歴:伝統工芸士、wonder500、はばたく中小企業・小規模事業者300社、中小企業「元気とやま賞」等
高岡民芸株式会社
菅笠とは竹で作った笠骨に、菅を縫い合わせた縫い笠である。通気性が良く、腐りにくい。日除け、雨除けに使用され、雪に対しても強く、昔は蓑や合羽と併用して労働や道中にも使われた。現在は基本的に農作業を中心に使用される。生まれたのは京都の禅僧から伝えられたという菅笠の技法に、もともと福岡の地に自生していた菅を用いたなど諸説ある。江戸時代に発展をとげ、九州・関東・東北地方まで販売先を広げ、現在も全国シェア90%以上をほこる。ただ菅笠製作は、農閑期の副業として行われてきた時代背景もあり、工賃が安く、後継者不足が深刻な問題になっている。そんな中、2015年、中山煌雲氏が越中福岡の菅笠製作の後継者として立ち上がる。これまで菅笠製作は、分業制であり、菅の制作、笠骨製作、菅の縫い付けと、別の職人が行うことがほとんどであった。しかし、すべてを一貫して行うことで、品質の向上とストーリーの見える商品を作りを可能にした。商品は実用品としてだけではなく、作品としての菅笠を提案。菅笠の可能性を広げた。
主な受賞歴:第3回菅笠コンテストにて新人賞受賞 ( 作品「小雪」)、全国三大コンペティション、高岡クラフトコンペ奨励賞受賞(作品 六方)、越中福岡の菅笠製作技術保持者として認定
株式会社竹中銅器
竹中銅器の特徴は、伝統技法及び金属加工に熟達した職人・技術者との幅広い連携を基に、テーブルウェアや文鎮から大型モニュメントまで、顧客のニーズに合わせたモノづくりチームをコーディネイトできることである。伝統工芸品だけでなく、世界で活躍するデザイナーや建築家・芸術家といったクリエーターの鋭い感性による斬新なモノづくりの要望に対しても、このチーム力で応え、高岡銅器の可能性を広げ続けている。銅像をはじめ、日常的に目にするものも多く、その商品は全国に展開しており、実績は非常に多い。特にfine.(ファイン)というデザイナーズブランドでは今日の多様なライフスタイルに向き合い、そこに美しく豊かな時間を届けることを念頭に、素材とデザインにこだわり、デザイナーとの一対一でのコラボ商品の開発に努めてきた。様々な日常のシーンを心地よく演出するシリーズとして展開している。
主な受賞歴:プロダクトデザイナー澄川伸一氏とのコラボ商品「aquarium Dumbbell」が2012年レッドドット・デザイン賞を受賞、同じく澄川伸一氏デザインの「aquarium シューホーン(くつべら)#003」が2004年グッドデザイン賞を受賞
有限会社佐野政製作所
前身である佐野為鋳造所では、鉄やアルミなどを鋳造していたが、そこから業務を引き継ぎ、現在では主に企業のオーダーメイド品の受注製作や仕上げの加工(研磨やアッセンブリなど)、仏具の数珠掛けの製作を行っている。同時に、人気の高いオリジナル商品の自社製作にも注力。特に受注製作においては、各工程の熟練職人の手によって最高の技術が施される分業制の中で、コンセプトから企画立案・開発・生産・製品化までをワンストップで取りまとめる役割を担う。オーダー品を製作するにはいろいろなスタートの方法があるが、顧客はラフスケッチからなら50%、図面からでも70%程度のイメージで工房を訪れる。打合せでその残りを埋め、各工程のエキスパートの協力企業様とチームを組みながら120%での納品を目指す。各工程での専門的な知識や技術を持つ職人たちと仕事をすることで、自社だけでは思いつかない工夫の提案を受けることが多い。そしてそれは自社にノウハウとして蓄積し、現在は強みになっている。最近では異素材との組み合わせなど新しい取り組みも数多く進めている。